一般社団法人

横浜市港北区医師会

物忘れ

会話を通して気持ちが落ち着いたケース

▼事例提供者
訪問看護ステーション 理学療法士

▼背景や生活状況、病状など
夜間不眠を訴えたり、日中はベッドに横になり眠っていることが多い。日にちや時間、人物は忘れてしまうが、会話は成立する。

▼症状・BPSDに対して行った支援
訪問時は離床して身体を動かしてもらうように援助した。食事の献立を題材とした会話を促し、出来上がりの料理を想像してもらった。

▼結果(その後のご本人、介護者の状態)
食事に関する思い出話で会話が弾んだ。外の空気を吸いに屋外へ散歩に出た後は、表情が明るくなり、感謝の言葉を多く口にするようになった。そして、離床時間が長くなった。

カレンダーの工夫をして対応したケース

▼事例提供者
地域ケアプラザ ケアマネジャー

▼背景や生活状況、病状など
独居の女性。夫が入所した後、物忘れが進行。特に日付と時間の認識力の低下がある。

▼症状・BPSDに対して行った支援
1カ月が縦に記入してあるカレンダーを利用して、日付の横に付箋で予定を入れた。毎朝8時に家族が電話して、カレンダーを本人が見て、スケジュールを確認してもらうようにした。デイケアでは、紙に次回の通所日を書いて持たせてくれた。

▼結果(その後のご本人、介護者の状態)
この工夫をすることで、デイケアに電話をすることが少なくなった。家族の協力は継続している。

▼事例提供者
居宅介護支援事業所 ケアマネジャー

▼背景や生活状況、病状など
息子さんと2人暮らし。本人はアルツハイマー型認知症がある。

▼症状・BPSDに対して行った支援
予定を記入するカレンダーを決めて、本人に書いてもらうようにした。

▼結果(その後のご本人、介護者の状態)
カレンダーを見ることでスケジュール通り行動できた。

▼事例提供者
訪問看護ステーション 看護師

▼背景や生活状況、病状など
独居の女性。娘さん2人が近隣に住んでいる。

▼症状・BPSDに対して行った支援
薬は看護師管理で1週間分セットし、定期巡回・随時対応型訪問介護看護を導入した。予定はカレンダーに記入するようにした。

▼結果(その後のご本人、介護者の状態)
家族の協力もあり、飲み忘れが減った。本人も忘れないように、意識するようになってきた。

薬の回数を減らし工夫したケース

▼事例提供者
訪問看護ステーション 看護師

▼背景や生活状況、病状など
独居の女性。隣に家族が住んでいる。短期記憶障害があり、薬を飲んだか忘れてしまったり、病院を受診したことや貰ってきた薬のことを忘れてしまう。

▼症状・BPSDに対して行った支援
飲み忘れを減らすよう主治医と相談した結果、1日1回の服用で、いつのタイミングでも飲んでよいこととなった。 本人には、内服したら空袋をお薬カレンダーに戻すようにしてもらった。

▼結果(その後のご本人、介護者の状態)
空袋をお薬カレンダーに戻すことで自分が薬を飲んだという意識づけが出来た。家族にも内服管理意識をもってもらえるきっかけとなった。

▼事例提供者
訪問看護ステーション 看護師

▼背景や生活状況、病状など
独居の男性。子どもはいない。循環器科に通院し、1日4~5回服用する薬が処方されている。

▼症状・BPSDに対して行った支援
外来看護師よりケアマネジャーへ連絡し、訪問看護が導入となった。服薬については訪問看護での管理とし、服用回数は主治医へ報告相談して1日1回へと変更してもらった。

▼結果(その後のご本人、介護者の状態)
服薬が1日1回となり、ほぼ忘れることなく服用できるようになった。「俺はできる」という自尊心を尊重し、サービスを増やすことなく過ごせている。

▼事例提供者
訪問看護ステーション 看護師

▼背景や生活状況、病状など
服薬や食事をすること、もしくは食べたことを忘れてしまう。ガスをつけていることを忘れ、鍋が空焚きにされていた。

▼症状・BPSDに対して行った支援
主治医には内服薬を朝1回にしてもらい、朝にヘルパーを導入し、薬と食事を確実にとってもらうことにした。それ以外はデイサービスの利用とした。配食サービスの利用と冷蔵庫や本人の手の届く所に食べ物を置くとともに、何を置いたのか分かるようにメモを残した。次の訪問時に食べたものを把握するようにした。お茶が好きなため、ポットに決まった量のお湯を入れ、毎日どのくらい減っているかチェックをした。娘さんには、安心できるように朝と夜に電話をかけてもらった。

▼結果(その後のご本人、介護者の状態)
確実に内服ができるようになった。また、娘さんからの電話で安心できた様子である。

▼事例提供者
訪問看護ステーション 看護師

▼背景や生活状況、病状など
夫との2人暮らし

▼症状・BPSDに対して行った支援
医師と相談し、本人の内服は1日1回(夕)だったが、夫(1日1回朝)と同じ処方にしてもらい、時間を合わせた。夫が自分の薬を飲む時に声かけをした。

▼結果(その後のご本人、介護者の状態)
夫の協力により、確実に内服できるようになった。

具体的な意識づけを試みて上手くいったケース

▼事例提供者
地域包括支援センター ケアマネジャー

▼背景や生活状況、病状など
子供と同居しているが、日中は独居。基礎疾患に糖尿病があり、血糖コントロールができていない。

▼症状・BPSDに対して行った支援
声掛け(具体的な説明や意識に残るような声掛け)やメモを残して意識してもらうようにした。

▼結果(その後のご本人、介護者の状態)
本人や支援者が食べた内容や量がわかるようになった。それによって食事内容を意識することができた。

▼事例提供者
訪問看護ステーション 理学療法士

▼背景や生活状況、病状など
物忘れが多くなり、息子さんが誰か分からないなど記憶が曖昧になっている。

▼症状・BPSDに対して行った支援
家族の不安が強かったため、認知症の確定診断をするため受診をすすめた。

▼結果(その後のご本人、介護者の状態)
受診し、病名が認知症であるとはっきりした事により家族もそれを受け入れることが出来、家族も少し安心できた。家族による本人への対応が変化した。記憶障害などの症状を理解して対応ができた。

サービスを利用して対応したケース

▼事例提供者

▼背景や生活状況、病状など
独居。娘さんが近隣に住み、週2回訪問。娘さんは多忙のため、決まった曜日にしか訪問できず心配している。

▼症状・BPSDに対して行った支援
昼食、夕食の2食を提供できるデイサービスに変更した。デイサービスから娘さんに日々の様子を報告するようにした。

▼結果(その後のご本人、介護者の状態)
本人は、食事は規則的に確実に取れる回数が増えた。娘さんは、情報がデイサービスより得られやすくなった。

視覚的に工夫したケース

▼事例提供者
訪問看護ステーション 看護師

▼背景や生活状況、病状など
独居であるが、敷地内に甥が住んでいる。日付や曜日がわからない。食事や洗濯などは行っているが、見守りが必要である。

▼症状・BPSDに対して行った支援
日付や曜日の分かるデジタル時計を導入した。

▼結果(その後のご本人、介護者の状態)
少しずつ時計とカレンダーを見る習慣はつき、飲み忘れる日は減った。

▼事例提供者
訪問看護ステーション 看護師

▼背景や生活状況、病状など
がん末期のため、入院にて緩和ケアを受けている。食事はミキサー食で、他の患者と同じホールで食事をしている。自力歩行可能。

▼症状・BPSDに対して行った支援
本人の名前を本人の部屋の横に大きく貼った。間違っている際には、誘導した。

▼結果(その後のご本人、介護者の状態)
部屋を間違えることは減った。

▼事例提供者
訪問看護ステーション 看護師

▼背景や生活状況、病状など
独居。心不全があり、急変の可能性が高い。

▼症状・BPSDに対して行った支援
訪問薬剤師を導入し、お薬カレンダーにセットするようにした。家族とサービス間の連携を密にし、できるだけ誰かが確認できるようにした。忘れていれば、本人に声掛けをして飲んでもらった。飲んだことを確認できるように、本人に飲み終わったら記録をしてもらった。

▼結果(その後のご本人、介護者の状態)
内服の飲み忘れが少なくなった。

▼事例提供者
訪問看護ステーション 看護師

▼背景や生活状況、病状など
独居。夫が亡くなってから物忘れが悪化した。ヘルパー、訪問看護、通所リハビリテーションを利用し、平日は毎日サービスが入る。土日は、お嫁さんが定期的に訪問している。服薬は時々飲み忘れがある。

▼症状・BPSDに対して行った支援
トイレにカレンダーを貼り、便が出た日に印をつけてもらうようにした。

▼結果(その後のご本人、介護者の状態)
排便があった日に印をつけてくれるようになった。

周囲の人に状況を理解してもらい上手くいったケース

▼事例提供者
居宅介護支援事業所 ケアマネジャー

▼背景や生活状況、病状など
独居。日常生活動作は自立し、買物も1人で行っている。認知症と診断されており、金銭管理や服薬管理ができない。家電製品(洗濯機、電子レンジ)は使えない。

▼症状・BPSDに対して行った支援
銀行に家族が連絡し、状況を伝えた。娘さんが金銭の管理をした。

▼結果(その後のご本人、介護者の状態)
銀行でのトラブルはなくなった。

▼事例提供者
地域包括支援センター 看護師

▼背景や生活状況、病状など
娘さん家族との2世帯。認知症がある。高血圧以外の基礎疾患はなく、退職後町内会の役員を行っていた。

▼症状・BPSDに対して行った支援
本人に関わる人達に認知症について説明し、困ったことがあれば家族に連絡するようにした。家族に認知症サポーター養成講座の参加を勧め、理解を深めてもらった。本人には、できるだけ役割を持ってもらうようにした。

▼結果(その後のご本人、介護者の状態)
本人も分からないという事を周りに話せるようになった。家族も気持ちに余裕ができ、本人を受け入れ対応できるようになった。困った時の相談できる場所が分かり、安心して介護ができるようになった。

▼事例提供者
訪問看護ステーション 看護師

▼背景や生活状況、病状など
高齢の夫と2人暮らし。子どもがおらず、頼れる親戚は近所にいない。最近、物忘れが進行しており、歩行器を使用しての歩行や更衣等日常生活動作が低下してきている。

▼症状・BPSDに対して行った支援
主治医に生活上で夫の負担が増えていることを伝えた。ケアマネジャーに報告し、本人と夫への支援の強化を求めた。ヘルパーとの連絡ノートに気づいたことがあれば記録し、情報共有をするようにした。

▼結果(その後のご本人、介護者の状態)
医師から音楽療法や日記を書くなどのアドバイスを受け、取り組んだ。また、後見人制度の勉強会に参加したり、地域ケアプラザに相談して積極的に話を進めるようになった。ヘルパーとの連絡ノートで情報共有し、夫の安心が増えた。

寄り添い、共感することで安心を得たケース

▼事例提供者
居宅介護支援事業所 ケアマネジャー

▼背景や生活状況、病状など
独居。

▼症状・BPSDに対して行った支援
不明になっている物は一緒に探し、困っていることや1人暮らしで寂しい気持ちに寄り添い共感した。失禁は一緒に片付け、身体を清潔にした。

▼結果(その後のご本人、介護者の状態)
本人は、一緒に行うことで安心した様子になった。

▼事例提供者
グループホーム 介護職

▼背景や生活状況、病状など
施設に入所中である。物忘れのため同じことを何度も尋ねることがある。忘れることに対する不安のため暗い表情になる。

▼症状・BPSDに対して行った支援
「忘れるという事は年齢相応なことで私も忘れるし、今と明日を楽しみましょうよ。明日天気が良かったらお出かけしましょうよ」と声掛けをした。

▼結果(その後のご本人、介護者の状態)
本人より「あー安心しました。いくら考えても想い出せなくて…でもこれですっきりしました」という言葉が聞けた。

▼事例提供者
居宅介護支援事業所 ケアマネジャー

▼背景や生活状況、病状など
サービス付高齢者住宅で独居。

▼症状・BPSDに対して行った支援
ゆっくり時間をかけて説明を行った。また、施設の職員が、その都度安心できるように説明をした。

▼結果(その後のご本人、介護者の状態)
説明後は「分かったわ」と言って安心している様子である。

事例一覧

認知症に関するとりくみ