一般社団法人

横浜市港北区医師会

怒りっぽい・暴力

ケアを統一したケース

▼事例提供者
訪問看護ステーション 看護師

▼背景や生活状況、病状など
妻と娘さん2人と同居している。低温火傷の処置のため訪問看護が開始された。主介護者である長女の発言に対して、常に抵抗を示すような言動がある。

▼症状・BPSDに対して行った支援
「~しましょうか」という問いかけに対して怒り易くなるため、「~します」という言い方に統一した。訪問看護に慣れるまでは看護師2人で訪問した。次女には、暴言が見られないため、次女に同席してもらった。

▼結果(その後のご本人、介護者の状態)
暴言は続くものの、手や足による暴力は少なくなった。
▼事例提供者
訪問介護事業所 介護職

▼背景や生活状況、病状など
独居だが、近所に息子夫婦が住んでいる。被害妄想や物盗られ妄想が強く、身内に向ける事が多い。

▼症状・BPSDに対して行った支援
入室時は本人に鍵を開けてもらう事、スタッフが入室して本人の状態を確認してから、お嫁さんに部屋へ入ってもらった。内服薬の相談を主治医にした。訪問看護と介護で日々の情報を共有しながら対応した。

▼結果(その後のご本人、介護者の状態)
統一した入室方法を徹底し、薬が減量となったことで、お嫁さんに対しても笑顔や感謝の言葉も聞かれる様になった。お嫁さんだけで訪問が出来るようになった。
▼事例提供者
訪問看護ステーション 看護師

▼背景や生活状況、病状など
夫が主介護者。寝たきり状態であり、日常生活動作は全介助で尿道留置カテーテル挿入中である。

▼症状・BPSDに対して行った支援
ケア中は、看護師自身が自分の手を置く位置に気をつけた。

▼結果(その後のご本人、介護者の状態)
本人は興奮していることが多いが、看護師を噛むことはなく経過している。
▼事例提供者
訪問看護ステーション 看護師

▼背景や生活状況、病状など
11年前アルツハイマー型認知症と診断された。夫が体調不良になった頃から、不穏行動が出現し、落ち着かない状態となった。

▼症状・BPSDに対して行った支援
家族に協力してもらい、「大丈夫だよ。つらいね」などと声掛けをしてもらった。訪問看護師は、処置中は声を出さないようにして、終了時に必ず「ありがとう」とお礼を言い、訪問できてよかった事を伝えた。

▼結果(その後のご本人、介護者の状態)
当初は行動に変化はなかったが、徐々にたたく・つねるという動作がなくなった。家族へも穏やかに接する場面が増え、家族の疲労が減少した。
▼事例提供者
デイサービス 介護職

▼背景や生活状況、病状など
息子さん夫婦と同居。主にお嫁さんが見守っている。

▼症状・BPSDに対して行った支援
本人が納得するまで少し離れて様子を見守り、落ち着いてからタイミングをみながらゆっくりとした口調で入浴の声掛けを行った。

▼結果(その後のご本人、介護者の状態) 本人のタイミングで入浴できるようになった。
▼事例提供者
デイサービス 介護職

▼背景や生活状況、病状など
娘さん家族と同居。レビー小体型認知症になり、デイサービスを利用開始。その後、転倒により骨折を繰り返しショートステイやデイサービス(泊まり)を利用している。編物が得意だった。

▼症状・BPSDに対して行った支援
まずは、顔なじみのスタッフが1対1で対応し、「トイレ」という言葉を使わないで世間話や手編みのセーターの話をしながら誘導した。入浴は、カーテンで仕切って個別で対応した。また、目線を合わせて、ゆっくりと声掛けをしながら、衣服を脱いでもらった。

▼結果(その後のご本人、介護者の状態)
その時々で拒否する言葉は変わるが、常に受け入れ、穏やかな気持ちで対応すると拒否がなかった。
▼事例提供者
小規模多機能型居宅介護 介護職

▼背景や生活状況、病状など
1人暮らし。デイサービスへは息子さんが送迎している。外出したい様子がある時は、2~3分でも外に出るようにすると嬉しそうな様子である。

▼症状・BPSDに対して行った支援
落ち着かない様子でフロアを行ったり来たりする時は、隣に座り話をするようにした。

▼結果(その後のご本人、介護者の状態)
担当のスタッフを決めて話しかけたり、隣に座って話をすると落ち着いた。
▼事例提供者
小規模多機能型居宅介護 介護職

▼背景や生活状況、病状など
夜間のみ独居。日中は息子さん夫婦が仕事で自宅に訪れる。

▼症状・BPSDに対して行った支援
スタッフを変えたり、入浴時間を変更したり時間をかけ、落ち着くのを待った。

▼結果(その後のご本人、介護者の状態)
朝は丁寧に挨拶をしたり、スタッフにも労いの言葉をかける場面が増えた。入浴時間を朝に変更したことで、入浴できる日が多くなった。
▼事例提供者
小規模多機能型居宅介護 介護職

▼背景や生活状況、病状など
夫と2人暮らし。普段から車椅子で過ごしている。物盗られ妄想があり、他人の物でも自分の物だと強く言い、時に暴力をふるって奪うことがある。週1回泊まりで小規模多機能を利用している。

▼症状・BPSDに対して行った支援
落ち着くために、その場から少し離れてもらい、本人の話を聞いた。相手の目をじっと見つめて、「味方であるよ」と本人が思えるように関わった。

▼結果(その後のご本人、介護者の状態)
落ち着くと笑顔になる。話し方も柔らかくなり鼻歌を歌う様子も見られた。
▼事例提供者
訪問看護ステーション 看護師

▼背景や生活状況、病状など
要支援の妻と2人暮らし。脳梗塞の既往があるため、1人での外出はできず、室内は伝い歩き。日中は椅子に座ったままで、妻に全て用事を頼んでおり、自分では動かない。妻も体調不良ですぐに行動はできない。

▼症状・BPSDに対して行った支援
本人の嫌がることはなるべくしないよう支援しながら、まずは信頼関係作りをし、訪問自体を拒否されないようにした。リハビリは、座ったままできることを中心に行い、できた時には認めるようにしたり、毎回同じことをして定着できるようにした。浣腸ではなく服薬にて排便コントロールをした。

▼結果(その後のご本人、介護者の状態)
本人、妻にも訪問を拒否されることはなく、祝日の振り替えも必ず行い、週1回の訪問を定着することができた。信頼関係を築くことで、ケアの途中で怒ることはあるが、拒否はなくなった。
▼事例提供者
理学療法士

▼背景や生活状況、病状など
独居。ヘルパーや訪問看護などが定期的に入っている。週1回息子さん夫婦が買物、料理などを行っている。

▼症状・BPSDに対して行った支援
本人が話す内容に「そうですね」と相槌をうちながら受けとめるように対応した。

▼結果(その後のご本人、介護者の状態)
同じ話を繰り返すが、本人はすっきりした様子。家族も同様の対応している。

サービス利用して対応したケース

▼事例提供者
居宅介護支援事業所 ケアマネジャー

▼背景や生活状況、病状など
妻がつきっきりで介護。下肢筋力が低下してきている。

▼症状・BPSDに対して行った支援
デイサービスの集団サービスは拒否がある。そのため1対1で対応できる訪問リハビリなどで対応した。

▼結果(その後のご本人、介護者の状態)
理学療法士とのやりとりに慣れ、リハビリが出来ている。妻もリハビリ中に、自分の時間を過ごせるようになった。
▼事例提供者
訪問看護ステーション 理学療法士

▼背景や生活状況、病状など
妻、息子さんと3人暮らし。認知症と診断され、妻が1人で対応をしていた。妻、息子さんに対する暴力、妄想が強くあった。

▼症状・BPSDに対して行った支援
親族に状況を伝えるとともに介護保険サービスの利用を勧め、妻以外の人に慣れることを目的として訪問看護を導入した。

▼結果(その後のご本人、介護者の状態)
女性であれば概ね本人の気持ちは安定し、一緒に散歩をしたり、マッサージを受け入れるようになった。妻がいなくても安定した気持ちで40~60分は過ごせている。訪問は定着しつつあり、妻が介護を抱え込んでいたが、徐々に手放せるようになってきた。
▼事例提供者
訪問看護ステーション 理学療法士

▼背景や生活状況、病状など
脳出血を発症後、加齢と共に徐々に認知力の低下がみられている。息子さんが1日中介護をしている。

▼症状・BPSDに対して行った支援
息子さんに、無理に動かしたり大きな声で指示するような声かけをしないよう対応方法の指導をした。デイサービスの利用や息子さんの促しによる生活リズムの改善を図った。また、散歩の頻度を増やして運動習慣をもうけた。

▼結果(その後のご本人、介護者の状態)
デイサービスを利用して数カ月経過し、デイサービス利用の前日や利用日は睡眠がとれる様になっている。リハビリ中も覚醒が良い日が多く、声掛けに合わせて運動ができるようになった。息子さんからは「前よりは、大きな声を出す場面は減った」という声が聞かれている。
▼事例提供者
訪問看護ステーション 

▼背景や生活状況、病状など
夫婦2人暮らし。

▼症状・BPSDに対して行った支援
介護サービスを導入し、本人の訴えを傾聴した。

▼結果(その後のご本人、介護者の状態)
ショートステイを導入し夫との距離をとることで、少し落ち着き始めている。
▼事例提供者
グループホーム 介護職

▼背景や生活状況、病状など
怒ったり泣いたりと感情の起伏がある。

▼症状・BPSDに対して行った支援
家族の協力も得て、なるべく本人の希望に添った支援を行った。

▼結果(その後のご本人、介護者の状態)
希望に添うように対応すると、穏やかに毎日過ごしている。

説明して理解したケース

▼事例提供者
訪問看護ステーション 看護師

▼背景や生活状況、病状など
本人の世話は元妻が行っている。認知症を発症し自宅での生活が困難なため、施設入所待機となった。

▼症状・BPSDに対して行った支援
これから行うケアについて説明したり、体に触れる前に声掛けをしたりして対応・支援した。

▼結果(その後のご本人、介護者の状態)
怒る頻度が減り、支援を受け入れてくれることが多くなった。
▼事例提供者
訪問看護ステーション 看護師

▼背景や生活状況、病状など
お孫さん2人と3人暮らし。週3回デイサービスに通所している。室内での歩行は四点杖、屋外は車椅子を使用している。身の回りのことは全て支援を受けながら行っている。

▼症状・BPSDに対して行った支援
「痛いので止めてくださいね」と声をかけるようにした。

▼結果(その後のご本人、介護者の状態)
手の甲をつねる行為は続いているが、痛いので止めてほしいと伝えると、すぐに止めるようになった。

入所となったケース

▼事例提供者
居宅介護支援事業所 ケアマネジャー

▼背景や生活状況、病状など
妻と2人暮らし。近隣に息子さん夫婦が住んでいる。

▼症状・BPSDに対して行った支援
妻の本心を聞き取り、施設入所や入院ができないか主治医に相談した。しかし、脳梗塞を発症し入院となったため、入院先の病院と退院後の施設入所に向けて連携を図った。

▼結果(その後のご本人、介護者の状態)
妻の了解を得て、施設入所となる。妻に対して暴力がみられたため、施設入所となり、「これで良かった」と家族は思っている。本人も施設に慣れ過ごしている。

事例一覧

認知症に関するとりくみ