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8事例掲載

幻覚・妄想

◯ 傾聴し対応したケース

物盗られ妄想があり、息子さんの外出中に「女が来て、私の物を盗って行った」という理由で警察に電話をした。

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▼事例提供者

訪問看護ステーション 看護師

▼背景や生活状況、病状など

息子さんと2人暮らし。他に介護者はいない。

▼症状・BPSDに対して行った支援

本人に警察に電話した理由をゆっくり聴き、心配ない事を説明した。

▼結果(その後のご本人、介護者の状態)

ゆっくりと話をしたことで落ち着いた。今後の対応を息子さんやケアマネジャーと話し合いをすることが出来た。

◯ 傾聴と対応の工夫をしたケース

訪問時、浣腸をすることを伝えるが、「今、公園にいるのに、ズボンなんか脱げない」「刑務所にいる。こんなところで裸になるのか、できない」と拒否する。

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▼事例提供者

訪問看護ステーション 看護師

▼背景や生活状況、病状など

家族の介助のもと自宅で療養中である。不定期に幻覚、妄想症状が出現する。一度症状が出現すると、24~36時間持続し食事もほとんど食べなくなってしまう。訪問看護を週2回利用し、便秘時には浣腸にて排便コントロールしている。

▼症状・BPSDに対して行った支援

本人の話を否定せず、話を傾聴し、意思は尊重しながらもケアの必要性を伝えた。また、時間をおいて声掛けしたり、同居の家族にも声掛けしてもらいながら、ケアの介入を試みた。

▼結果(その後のご本人、介護者の状態)

時折、浣腸時に幻覚症状を訴えるが拒否はなくなった。

体調によりリハビリ、入浴を拒否することがある。
「物がなくなった」「〇〇が盗っていった」など、妄想がみられることもある。

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▼事例提供者

居宅介護支援事業所 ケアマネジャー

▼背景や生活状況、病状など

有料老人ホーム入居。腰痛や膝痛があり、長い距離は歩けない。精神的にうつ傾向が強い。日常生活動作が低下傾向である。

▼症状・BPSDに対して行った支援

本人の体調や気分に合わせ、リハビリや入浴の時間をずらして対応した。「お金や物がなくなった」の訴えがあった時は、ヘルパーが一緒に探した。

▼結果(その後のご本人、介護者の状態)

探していた物が見つかり、本人は安心した様子であった。「ありがとう」という言葉も聞かれた。

好きなテレビタレントに「結婚しようと言われた」と思い込み、1人でテレビ局まで行こうとして、警察やデイサービス事業所の送迎者に保護されることが数回あった。

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▼事例提供者

居宅介護支援事業所 ケアマネジャー

▼背景や生活状況、病状など

娘さん家族と同居。同居する半年程前に夫が他界している。自宅に閉じこもりがちな生活。

▼症状・BPSDに対して行った支援

認知症対応型通所介護の利用を開始した。スタッフが、本人の好きなテレビタレントのお面を作るなどの工夫をした。

▼結果(その後のご本人、介護者の状態)

お面を使わなくても継続利用につながり、笑顔で過ごす時間が増えた。

幻覚・幻聴の内容について、具体的な言葉で話す。普段は穏やかな表情であるが、落ち着きがなく、ゆっくり座ることは少ない。

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▼事例提供者

グループホーム 介護職

▼背景や生活状況、病状など

7年前より幻覚あり、レビー小体型認知症とうつ病と診断される。近くに住む息子さんが様子を見ながら支えていたが、認知症悪化で独居生活困難となりグループホーム入居となった。

▼症状・BPSDに対して行った支援

本人の希望にて家事の手伝いを行ってもらった。 幻覚や幻聴出現時は、否定せず寄り添った。

▼結果(その後のご本人、介護者の状態)

毎日、自ら決まった家事の手伝いを行い、楽しそうに生活している。

◯ デイサービスを利用して精神的に落ち着いたケース

幻覚や独り言が多い。誰かが見えている様子で、ずっと話し続けることがある。

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▼事例提供者

デイサービス 介護職

▼背景や生活状況、病状など

独居である。娘さんが近所に住んでいるため、朝と夕の2回、食事を運んでもらっている。認知症と統合失調症がある。

▼症状・BPSDに対して行った支援

デイサービスでの作業や塗り絵などの活動を通して、他者との交流を図った。落ち着かない時は、スタッフが隣に座り、一緒に話をするようにした。

▼結果(その後のご本人、介護者の状態)

当初は、体操やレクリエーションの輪の中に入る事に拒否があり、離れたソファーで荷物を持ったまま見学していたが、徐々に慣れて参加している。その間、独り言や幻覚もなく過ごせている。

◯ 内服調整したケース

「知らない人がベッドの周りをウロウロして怖くて眠れない。傷病兵や白い袋をかぶせられた人がベッドに2人寝ていて、自分がベッドに眠れない」と言って、リビングの椅子でテレビを一晩中つけて眠っていた。時には「助けて」と大声を出しながら外に出てしまい、近所で救急車を呼ばれる騒動になった。幻覚は昼も見えており「和室に誰かがいるから」と落ち着けず、シャワー浴が出来ないことがあった。

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▼事例提供者

訪問看護ステーション 看護師

▼背景や生活状況、病状など

息子さんと2人暮らし。息子さんは就労しているため、日中は1人になる。娘さんが週に2回泊まりに来て、身の回りの世話をしている。デイサービスは以前利用していたが、現在は本人が嫌がるため利用せず、ヘルパーを1~2回/日 ・訪問看護を1回/週利用している。室内は歩行器を使用し、身の回りのことは大体自分で行える。

▼症状・BPSDに対して行った支援

ケアマネジャーを通じて、家族(娘さん)を交えてカンファレンスを行い、夜間も含めてなるべく1人になる時間を作らないようにした。主治医へ相談し、薬物療法が開始された。ショートステイの日程を2~3日から1週間~10日間に期間を延長した。訪問時には本人の話を傾聴し、「あそこに人が居る」と言った場合、一緒にその場所まで行って誰もいない事を確かめた。

▼結果(その後のご本人、介護者の状態)

娘さんと一緒にいる時間を長くすることで安心し落ち着く様子もみられるようになった。幻覚が見えていても「これは私にしか見えない事なのよね」「怖くなくなった」と話している。ショートステイも慣れた事もあり、幻覚があっても落ち着いて過ごしている。

「息子が薬を持って行ってしまう」「家を狙っている」との妄想がある。

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▼事例提供者

訪問看護ステーション 看護師

▼背景や生活状況、病状など

独居。日常生活動作は自立している。妄想があるが、医師からは家族の付き添いがないと薬を処方できないと言われている。家族から受診に同行する協力は得られていない。

▼症状・BPSDに対して行った支援

ケアマネジャーに医師の意向を伝え、付き添いサービスを調整した。薬はお薬カレンダーを使用し、確実に服用が行えるように介入した。

▼結果(その後のご本人、介護者の状態)

薬の飲み忘れはなく経過している。本人は、薬を飲み始めてから「余計な心配が少なくなった。」と話している。
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